実務家教員インタビュー Vol.04.

大阪大谷大学 人間社会学部 人間社会学科 教授
藤原崇先生

コンサルタントとして20年間シンクタンクに勤務した実務経験を持ち、2022年4月より大学教員となられた藤原崇先生に、研修プログラムを受講して、実務家教員となった今についてお話を伺いました。

※「産学連携教育イノベーター育成プログラム」2021年度修了

Q 現時点から振り返って、研修プログラムを受講した結果、ご自身の高等教育観は変化したと思いますか。変化がある場合、どのように変化したと感じますか。


A 非常に月並みな感想ですが、このプログラムを受ける前は、大学には牧歌的なイメージを持っておりました。偉い先生が言ったことを学びたい人が学ぶ。そういうイメージを持っていたのですが、博士号を取る過程や、昨年、非常勤講師も経験し、その中でこの研修プログラムを受けて、大学の経営というか運営も非常に変わってきているなと思いました。
 例えばIRの問題とか、LMSの使い方であるとか、非常にシステマティックにしっかり学生を育て、何を学ぶかではなく何ができるかというように、人材育成の方向性や大学像が大きく変わっていることを実感したのが大きな価値観の変化でした。
 そういったことの学びが、この4月から始まった大学教員生活では非常に役に立っています。単語であったり、ツールであったり、会議の場などで皆さんがおっしゃることがすんなり理解できたりしています。
 教員応募・面接の段階でも、大学というものをしっかり理解している印象を持っていただいたようで、そういう意味ではこのコースでの学びは、大学教員に進むという過程でも、それから進んだ後に大学で実際に働く場面でも、非常に役に立ちますし、考え方を事前にしっかりと変えられたことが活きていると実感できています。

Q 意識・行動の変容として、研修プログラムを修了したことで、現在の仕事や学びへの意識や取り組み方に変化はありましたか。

A 研修プログラムにおいて、私はインストラクショナルデザイン指導力育成コースを選択しましたので、授業設計であったり、理解を促進するためのいろいろなツールであったり、教え方という部分で非常に勉強させていただきました。そのおかげでこの前期も何とか乗りきることができたのではないかと思います。  
 大学にて、私は経営戦略論等を教えているのですが、経営戦略という学びの中で、特に何を伝えてあげるのが、学生にとって、将来、社会に出たときに重要なのかを考えるようになりました。教え方のレベルを上げていくと、教える内容もどうあるべきかというところに、問題意識が湧いてくるんだというのは、前期授業をして実感したところです。

 自分自身がもっと深く理解をして、経営戦略のエッセンスは何だろうとか、彼らが社会の中で生きていく上で、何を得ることが学びになるのかと、考え直すことの重要性に改めて気付きました。教え方と教える内容の両面の重要性に気付けたのも、やはり本プログラムで教え方の基礎をしっかり教授頂いたおかげだと感じております。
 遅ればせながら、経営戦略論の本や、後期はマーケティングの授業もあるのでマーケティングの本をもう一回読み直して勉強しています。前期につまずきながらやった教える内容や教え方について、後期ではもう少しフォーカスして、彼、彼女たちにとって大切なものをどう提供できるかを考えていかなければと、行動を変えようと思ったのがこの前期の経験です。研修プログラムで教えていただいたことと、前期授業の経験がきっかけとなり、私の意識・行動が変化しました。

Q 大学教員の応募の際や面接において、このプログラムを受講修了したことをお伝えになりましたか。そしてそれが何かしら大学側にインパクトがありましたか。

A 私は研修プログラム修了前の段階で応募したので、受講していますということは、応募書類の教育履歴のところに記載しました。
 採用側の反応として、特に面接の段階で聞かれたことはなかったのですが、全学の会議にかける際に、そういうことも推薦の中に入れておきましたと一言ありました。私は、非常勤講師を一回だけ経験したのみで、実務家経験しかない状態だったので、そういう見方もされるのだと知りました。単に実務家というだけではなく、大学教育を学ぼうという姿勢を持っているという証明として考慮頂いたのだと思います。 

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